印刷・企画 株式会社すがの印刷

スガノブログ

SDGsがめざす世界で、印刷物ができること

SDGsがめざす世界で、印刷物ができること

ここ数年、様々な場面でSDGsが意識されるようになってきました。2030年までに、持続可能でよりよい世界をめざす国際目標に対して、単なるスローガンや社会貢献活動として捉えるのではなく、事業活動の中で実現していこうとする企業も増えてきています。

幅広い業種・業界と取引のある私たち印刷業界においても、お客様とともに取り組みを進めていくことが求められています。9月のSDGs週間(Global Goals Week:2022年9月16日~25日)に合わせ、印刷物とSDGsの関係について考えます。

SDGsに取り組まないことがリスクになる時代

2022年1月の電通の調査(※)によると、「SDGs」の認知率は86.0%で、1年間で30ポイント以上も増加しました。これまで認知率が高かったビジネス層や学生層だけでなく、それ以外の層にもSDGsが浸透してきたことがわかります。また、積極的にSDGsに取り組む企業に対して好印象を持ち、その企業が提供する商品やサービスを利用しようとする傾向が高まることも示唆されています。

認知度が上がり、社会全体の意識も高まっていることから、これからの企業はSDGsに取り組まないことがリスクになると言っても過言ではありません。SDGsに逆行するような事業活動を続けていると、お客様・取引先との関係が悪くなり、優秀な若手人材からも選ばれない時代になってきています。

(※)第5回「SDGsに関する生活者調査」

環境に優しい資材に切り替える

印刷は、森林資源から作られた「紙」と、石油資源から作られた「インキ」を使います。まずできることは、これらの資材をサステナビリティに配慮したものに替えることです。

配布するカタログや名刺などの印刷物に、これらの原材料がわかる環境マークを表示すると、渡す相手へ取り組みをわかりやすく伝えることができます。

FSC認証

FSC認証は、進行する森林破壊を食い止めるとともに、経済活動に必要な木材を持続可能な形で伐採し、適切に管理していくための制度。すがの印刷では、マーク入りの名刺用紙をご用意しています。

グリーンマーク

対象製品の原料に古紙を既定の割合以上使用していることを示すマーク。紙リサイクルの促進は省資源・環境負荷軽減につながります。

再生紙使用マーク

再生紙に古紙パルプが何%配合されているのか表示するマーク。Rマークとも呼ばれ、R70は古紙パルプ配合率70%を意味しています。

植物油インキマーク

一般の印刷インキには石油系溶剤が含まれていますが、この一部を植物油に替えたものが植物油インキです。紙とインキが分離しやすいのでリサイクルに適し、大気汚染の原因となるVOC(揮発性有機化合物)の発生も抑えます。現在ではオフセットインキのほとんどが植物油インキ対応製品となっています。

インキではこのほかに、植物性インキよりもさらに環境に配慮した「ノンVOCインキ」や、使えなくなった特色インキを回収してリサイクルする「サステナブルインク®」等があります。

デジタル印刷で小ロットに対応

かつての印刷では、大量に作る方がコストを抑えることができ、生産性も高かったため、大きなロットで印刷し、在庫を保管して、不要になれば廃棄するというやり方が主流でした。

このやり方では、情報が更新されるたびに古い印刷物を捨てることになり、資源を無駄にしてしまいます。近年では、必要な分だけ最小限に印刷できるデジタル印刷機が普及し、スピードやコスト、品質面でも従来のオフセット印刷と比べて遜色のないほどに進化しています。

少部数の印刷でデジタル印刷を活用すれば、無駄な印刷物を作る必要がなくなるだけでなく、製版工程がないため廃液や水を排出しない、準備用紙(試し刷り)が削減できる等、環境負荷を低減させる効果があります。

廃棄物を活用して紙製品へアップサイクル

非木材の代替資源を使った紙は以前からありましたが、捨てるしかなかった廃棄物や不用品を紙の原料にして、アップサイクルする動きはさらに広がっています。

バナナペーパー

ザンビアで生産されるオーガニックバナナの茎の繊維を利用した紙。繊維の配合率が20%以上と5%以上の2種類があり、20%以上の紙は日本初のフェアトレード認証紙です。貧困とCO2を減らし、森と野生動物を守ります。

折り鶴再生紙

広島平和記念公園に届けられる折り鶴は年間10トン以上になり、半世紀にわたって焼却処分されていました。折り鶴に込められた平和への祈りを受け継いで再生された紙は、折り紙のカラフルな紙片をあえて残したものになっています。

葦紙(よしがみ)

湿地帯に育つヨシは水を浄化し、川辺にすむ生き物たちの豊かな生態系を守る働きがありますが、保全のためには毎年立ち枯れたヨシを刈り取らなければいけません。葦紙は、減少しつつあるヨシ原の再生を目指して開発されたもので、日本に古くからある在来植物を守る活動につながっています。

芝ペーパー

野球場やサッカー場などで刈り取られた芝を原料とした紙。地元の競技場で刈り取られた芝を使うことで、そこで練習するスポーツチームへの愛着が湧くとともに、応援の輪を広げ地域の一体感を高めることにもつながります。

その他

芝以外にも、身近なところで発生している廃棄物を原料にした様々な用紙が作られています(そば殻、ホタテの貝殻、コーヒーかす、モルトかす等)。素材感を残した風合いで、話題にしやすいという特徴があります。

まとめ

SDGsの取り組みは企業としての在り方や姿勢に深く関わることです。

SDGsで掲げられている17のゴールはみんなが賛同できるものばかりですが、その理想的な未来と現状との間にはまだまだ隔たりがあるようです。

これまで当たり前に取り組んできたことがSDGsの理念に近い場合もありますが、2030年という期限を意識して、「達成するために何をするか」という発想もこれからは必要になってきます。

すがの印刷は、環境に配慮した製品づくりを続けながら、これからも人と人を結び、活気あふれるまちづくりに貢献できるよう努めていきます。

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